「機能性表示食品」の隣に「栄養機能食品」。少し離れた棚には「トクホ」。名前を聞けば違いそうなのに、どれを選ぶかとなると手が止まる。健康のための買い物に、制度の暗記まで付いてくるのか。そう思いたくなります。

機能性表示食品と栄養機能食品の違いは、何の働きを、どんな仕組みで表示しているかです。 栄養機能食品は基準に沿った栄養素の機能表示。機能性表示食品は事業者の責任による事前届出。トクホは国の審査を経た許可制です。どれも食品ですが、名前を読み替えてしまうと、根拠の確かめ方を間違えます。

今日は制度の一覧からではなく、三つの包装から始めましょう。商品も表示カードも、読み方を説明するための架空例です。実在する届出や許可、商品の完全な表示を再現したものではありません。

一つ目の包装:「栄養機能食品(ビタミンB6)」

まず、ビタミンのサプリ。表には「栄養機能食品(ビタミンB6)」とあります。こう書いてあれば、国がこの一本を試験して認めたのだろうか。

ここで確認するのは、個別商品の許可ではありません。栄養機能食品は、対象となる栄養素を補うための食品です。一日摂取目安量に含まれる当該栄養素の量が定められた範囲にあり、規定の機能や注意事項などを表示する仕組み。個別の許可申請を必要としない自己認証制度です。[1]

表示の読み方・架空例

栄養機能食品

(ビタミンB6)

括弧の中が、表示の対象。

対象の栄養素 → 一日分の量 → 規定の機能

基準に沿った自己認証

個別商品の許可ではありません。

読み方を説明する模式図。実在商品の表示、届出番号、許可マークを再現したものではありません。

この架空の包装なら、まずB6の行を探します。どれだけ含まれるか、一日何粒か。そのあと、ほかの栄養素の量も読む。B6が栄養機能表示の対象だからといって、配合されたすべての成分の働きまで同じ枠組みで示されているとは限りません。

欲しいのは栄養素の補給か、それとも別の変化か

ここで、自分が買いに来た理由へ戻ります。食事を補いたいのか。眠りの悩みを何とかしたいのか。両方とも体の話ですが、商品に尋ねる問いは違います。

ビタミンの働きが書かれていても、それだけで「飲めば疲れが消える」「集中力が上がる」とは読めません。栄養素を補う説明と、摂ったあとに何が変わるかの説明を分けます。気になる働きがあるなら、それを直接調べた資料へ進む。

最初から細かい制度名を覚えるより、包装の括弧の中を見るほうが早い。「栄養機能食品」のあとに、どの栄養素が書かれているか。この一本が、何について説明しているのかが分かります。

二つ目の包装:「機能性表示食品」

次は、睡眠に関する機能が書かれた架空のサプリ。表に「機能性表示食品」、別の場所に届出番号があります。番号があると、それだけで話が終わった気になる。ここが、もう一行読むところです。

機能性表示食品は、安全性や機能性の科学的根拠などを、事業者が販売前に消費者庁長官へ届け出る制度です。トクホとは異なり、国による個別の安全性・機能性の審査は行われません。事業者が責任を持って、根拠に基づいた表示を行います。[2]

届出番号は、国が効き目を承認した番号ではありません。公開された情報を探すために使えます。 この読み方を知ると、番号には別の価値が出てきます。商品画像を眺めるだけでなく、何を根拠に、どんな機能を表示しているかを確かめられるのです。

表示の読み方・架空例

機能性表示食品

届出番号:包装で確認

番号から、根拠を読みに行く。

届出番号 → 公開情報 → 対象者・機能・量・根拠

事業者の責任による事前届出

届出は国による効果の承認ではありません。

読み方を説明する模式図。実在商品の表示、届出番号、許可マークを再現したものではありません。

「睡眠」という一語で、全部をまとめない

架空の売り場で、二つの箱に睡眠に関する説明があるとします。片方は、起きたときの感じについて。もう片方は、眠りにつくまでについて。気になる商品でも、機能表示の全文を読むと、自分が知りたいこととは違う場合があります。

「睡眠によい」と一つにまとめるより、何が変わるという説明なのかを読む。同じように見える商品を比べるとき、ここは成分名と同じくらい大事です。自分が困っていることに対応する結果を調べているか。それなら、読む理由もはっきりします。

GABAを使う商品でも、成分名だけで全製品に同じ睡眠の機能を当てはめることはできません。GABAの効果を調べた記事では、研究で何を測ったかを分けて読んでいます。商品の表示も、その商品について確かめます。

届出内容を読むときは、まず五つだけ

いきなり論文を全部読もうとすると、買い物が研究会になります。最初は、次の五つを商品情報と照合すれば十分です。

  1. 同じ商品か。 商品名と届出者名を合わせる。
  2. 誰に向けた表示か。 対象者の説明を読む。
  3. どんな機能か。 キャッチコピーではなく、届け出た表示の全文を見る。
  4. 何を、どれだけ摂る条件か。 機能性関与成分と一日摂取目安量を確認する。
  5. 何を根拠にしているか。 最終製品の試験か、成分などに関する研究レビューかを区別する。

この五つが分かると、説明の続きを読めます。試験の期間や測定項目が自分の期待と合うか。レビューなら、どんな研究が集められているか。機能性表示食品という名前だけで、全商品に同じ完成品試験があるとは考えません。

三つ目の包装:「特定保健用食品」、通称トクホ

今度は飲料です。サプリの形でなくても、食品には保健の用途を表示する制度があります。トクホはその一つ。こちらは、食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得て表示する仕組みです。[3]

表示の読み方・架空例

特定保健用食品

通称:トクホ

許可された用途を読む。

保健の用途 → 摂取目安 → 自分の目的と照合

国の審査と許可

許可された用途を、別の効果へ広げません。

読み方を説明する模式図。実在商品の表示、届出番号、許可マークを再現したものではありません。

審査と許可がある。この違いには意味があります。機能性表示食品の届出と同じものとして説明してはいけません。ただし、その許可は、何についての許可かまで読む必要があります。

たとえば、お腹の調子に関する保健の用途が表示された架空の飲料なら、その用途と摂取目安を確認します。そこから、眠り、疲れ、体重まで勝手に話を広げない。別の目的なら、別の根拠が必要になります。

「トクホのほうがよく効くのですか」と聞かれたら、私はまず、何と何を、どの目的で比べるのかを聞きます。お腹のための飲料と、ビタミン補給のサプリに、一つの勝敗を付けることはできません。制度の違いを知ったうえで、比較する商品と結果をそろえる。その順番です。

許可があると、使い方を省いてよい?

省けません。一日どれだけ使うか、どんな人に向けた表示か、摂取上の注意は何か。商品の条件を読むところまでが選び方です。

特定保健用食品にも、条件付きのものなど区分があります。トクホという言葉だけで詳細を丸めず、手に取った商品の表示を確認してください。許可を尊重することと、説明を読まずに任せることは違います。

三つを並べると、違いが見える

ここで、先ほどの包装を並べます。覚えるなら、自己認証・届出・審査と許可。この三つです。

栄養機能食品機能性表示食品特定保健用食品(トクホ)
表示の中心規定された栄養素の機能届け出た機能許可された保健の用途
仕組み基準に沿った自己認証事業者による事前届出国の審査と許可
最初に見る場所対象栄養素・一日分の量表示の全文・届出番号保健の用途・摂取目安
追加で確かめること補いたい栄養素と量が合うか対象者・量・根拠が目的に合うか許可された用途が目的に合うか

この表は、買う順番を指定するものではありません。栄養素を補いたい人には、その栄養素の量が大事です。特定の機能を期待する人には、その機能の根拠と条件が大事です。名前が立派だから、目的が違ってもこちらを選ぶ、とはしません。

では、一般のサプリはどう扱う?

この三つの表示がない商品もあります。その場合、制度上の機能表示を行っている商品としては読みません。それだけで、成分が少ない、品質が悪い、役に立たないと判断することもできません。

たとえば、補いたい成分が決まっていて、原料と量が明確な商品なら、その情報を使って比較できます。量や原料の読み方は、サプリの成分表示の見方で説明しています。

逆に、制度名がなくても、商品ページに魅力的な言葉が並んでいる場合があります。その説明を、許可された用途や届け出た機能と同じ意味では受け取らない。どの商品でも、成分の研究と、その商品についての説明を分けて読む習慣は役立ちます。

届出番号から調べる。商品ページの外へ一度出る

機能性表示食品を選ぶとき、公開情報の確認は思っているほど遠い作業ではありません。包装の届出番号を手元に置いて、消費者庁の検索ページを開きます。[4]

  1. このページ末尾の「機能性表示食品の届出情報を検索する」から、消費者庁の案内ページへ進む。
  2. 案内にある公開データベースへのリンクを開き、包装の届出番号を検索する。
  3. 結果の商品名と届出者名を照合し、表示する機能や対象者、一日摂取目安量を読む。
  4. 根拠の資料と、届出の変更・撤回などの状態も確認する。

届出番号は、その包装を確かめるために使います。同じブランドだから、同じ成分だから、と別商品の番号を流用しないでください。商品名の似た別製品や、変更前の情報にも気を付けます。

最初の一回は少し手間がかかると思います。ただ、買おうとしている商品なら、最後まで読む理由があります。届出内容と商品ページを並べると、短い広告では省かれていた条件が見つかることもあります。

私は、公開資料がある商品のよさは、こうして説明を確かめられるところにもあると思います。全部を疑って疲れる必要はない。気になった一点を、自分で見に行ける。そのための番号として使えばいいのです。

三問だけ、読み方を試してみる

ここからは、さっき見た三つの包装で考えます。気になった問いだけ開いてください。

① 栄養機能食品(ビタミンB6)なら、配合された全成分の効果が国に認められている?

そうは読めません。括弧の中のB6について、規定された栄養機能を表示する仕組みです。個別商品の全配合を国が試験して認めた、という意味ではありません。ほかの成分は、その量と根拠を別に確認します。

② 機能性表示食品の届出番号があれば、次に読むものはない?

むしろ、番号を使って読める情報が増えます。表示する機能、対象者、一日分の成分量、根拠を確認できます。自分が欲しい変化と同じかを、表示の全文で確かめてください。

③ お腹のためのトクホと、栄養素を補うサプリ。どちらが上?

その二つには、共通の採点項目がありません。お腹の調子について選ぶなら、その用途や機能を比べる。栄養素の補給なら、対象成分と量を比べる。先に自分の目的を決めると、比べる商品も決まります。

次の買い物では、目的を一つ書いてから選ぶ

「体によいものを探す」では、候補がいくらでも増えます。「この栄養素を補う」「この睡眠の指標について知りたい」と書いてから見ると、どの説明を読むかが決まります。

栄養機能食品なら、その栄養素の一日分。機能性表示食品なら、表示の全文と届出内容。トクホなら、許可された保健の用途。それを読んだあとで、味、粒の大きさ、価格、使う手間を比べます。条件が合っていても、毎日使いにくい商品は続きません。

三つとも医薬品ではありません。機能性表示食品は疾病の診断・治療・予防を目的とした商品ではなく、症状を治す薬の代わりとして選ぶものでもありません。持病や服薬がある場合は、成分と摂取量を伝えて併用を確認します。体調の変化が出たら使用を中止し、商品情報を持って医療機関へ相談してください。

名前の違いが分かると、商品を選ぶのが少し面白くなります。「何となく公的で安心そう」だった文字が、何を確認するかを教えてくれるからです。次に棚で迷ったら、いちばん権威がありそうな名前を探す前に、自分は何のためにこれを買うのかを思い出してください。

よくある質問

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機能性表示食品と栄養機能食品は何が違いますか?

栄養機能食品は、対象となる栄養素の量などの基準を満たして、定められた栄養機能を表示する自己認証制度です。機能性表示食品は、事業者が安全性や機能性の根拠などを販売前に届け出て、自らの責任で機能を表示する制度です。機能性表示食品の届出は国による個別の効果の承認ではありません。

トクホのほうが、機能性表示食品よりよく効きますか?

トクホには国の審査と許可という違いがあります。ただし、制度名だけで異なる商品の効き目を順位付けすることはできません。表示された保健の用途や機能、対象者、成分、一日目安量を確認して、自分の目的に合う商品を比べます。

機能性表示食品の届出番号は、どこで調べられますか?

消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索ページから、公開データベースを利用できます。包装の届出番号を入力し、商品名と届出者名を照合します。対象者、表示する機能、一日摂取目安量、安全性や機能性の根拠、届出の状態などを確認します。

栄養機能食品と書かれていないサプリは、選ばないほうがいいですか?

その表示がないことだけでは、商品の成分量や品質の良し悪しは決まりません。補いたい栄養素が明確なら、一般のサプリでも原料、成分量、使い方、品質に関する情報を確認して比較できます。保健機能食品の区分に該当しない食品へ、制度上の機能表示と同じ意味を読み込まないことが大切です。

機能性表示食品を飲めば、症状の治療になりますか?

機能性表示食品は医薬品ではなく、疾病の診断・治療・予防を目的とした商品ではありません。表示された対象者や機能の範囲で選びます。持病や服薬がある場合は併用を確認し、症状が続く場合は食品選びと診療を分けて考えてください。

出典参考資料・文献

本文で参照した資料です。リンクは新しいタブで開きます。

  1. 01消費者庁:栄養機能食品 — 表示条件と自己認証制度
  2. 02消費者庁:機能性表示食品 — 事前届出と事業者の責任
  3. 03消費者庁:特定保健用食品 — 審査・許可と許可品目一覧
  4. 04消費者庁:機能性表示食品の届出情報を検索する