「マカで男性ホルモンを高める」「トリビュラスで精子を増やす」。妊娠を考え始めたとき、そんな言葉を見ると試したくなるかもしれません。性欲が変わること、精液検査が変わること、妊娠につながることは別の結果です。研究には前向きな報告もありますが、この二つを「父親になるための必需品」と呼べるデータはありません。広告を否定するためだけでなく、何に期待し、何を別に考えるべきかを整理します。

  1. 01実感性欲や勃起機能の質問票
  2. 02検査血中テストステロンと精液所見
  3. 03妊娠妊娠・出生まで確かめたか

先に答え:効く・効かないを一言で決められない

マカの性欲については、小規模なプラセボ対照試験で改善が見られました。一方、精液所見を調べた複数の試験は結果がそろっていません。トリビュラスも、勃起機能を調べた試験に改善例がある一方、テストステロンや精液所見の研究は一致していません。「性欲への可能性がある」と「妊娠しやすくなると証明された」は違います。[1][2][4]

広告の言葉を、測った結果に分ける

性欲・性機能

マカ小規模試験で改善例あり

トリビュラス一部の試験で改善例あり

テストステロン

マカ上昇を確認できず

トリビュラス安定した上昇は未確認

精液所見

マカ5試験の結果は混在

トリビュラス前向きな報告と否定的な試験が混在

妊娠・出生

マカ改善は確認されていない

トリビュラス改善は確認されていない

マカ:性欲の試験結果を、精子の効果と混ぜない

健康な成人男性を対象にした12週間の無作為化試験では、マカを1日1.5 gまたは3 g摂った群で、8週目と12週目に自己評価による性欲が改善しました。一方、血中テストステロンとエストラジオールにはプラセボ群との差が見られませんでした。この試験は妊娠や精液所見を測っていません。「マカを飲むとテストステロンが上がるから妊娠しやすい」という説明は、この結果からは出てきません。[1]

精液所見については、2022年の系統的レビューが無作為化試験5件をまとめています。一部の試験では精子濃度や運動率に改善がありましたが、別の試験では差がなく、統合解析では精子濃度のプラセボとの差を確認できませんでした。研究数も参加者数も少ないため、「効かないと確定した」とも「精子を増やすと証明された」とも言えません。妊娠・出生への効果も、このレビューからは分かりません。[2]

トリビュラス:性機能には前向きな結果、ホルモンは別

軽度から中等度の勃起障害がある男性180人を対象にした12週間の無作為化試験では、規格化されたトリビュラス抽出物の群で、プラセボ群より勃起機能の質問票スコアが改善しました。意図した全参加者を含む解析で、群間差は2.70点でした。性欲などの項目にも差が報告されています。ただし、対象は性機能の悩みがある男性で、使われたのは特定の製剤です。この数字を市販のすべての製品や、精子・妊娠への効果に置き換えられません。[3]

2025年の系統的レビューでは、勃起機能を測った5研究のうち3研究で改善が報告されました。一方、調べた10研究のうち8研究で男性ホルモンに有意な変化は報告されず、レビューはテストステロンを安定して上げる確かな証拠はないと結論しています。研究対象や製剤がばらばらで、半数は方法上の質が低いと評価されました。したがって「性機能への可能性」と「テストステロン増強剤としての実証」は分けて読む必要があります。[4]

「精子に効く」という研究もある。では、なぜ結論は慎重?

トリビュラスの精液所見を扱った2019年の系統的レビューは、7報中6報で精子数、運動率、形態などの一部に改善が報告されたとまとめています。これは無視してよい結果ではありません。ただし、集められた研究には、無作為化された試験だけでなく、対照群のない研究なども含まれます。[5]

別の30人の試験では、3か月のトリビュラス使用後に、テストステロン、精子濃度、運動率、形態の有意な変化は見られませんでした。こちらも小規模なので、効果が絶対にない証明にはなりません。前向きな報告と否定的な報告の両方があり、研究の条件もそろっていない。そのため、広告にあるような「飲めば精子が改善する」という予測は、今のデータでは難しいのです。[6]

さらに、精子数や運動率に差が出たとしても、妊娠・出生まで改善したかは別に確かめる必要があります。今回確認した研究から、マカまたはトリビュラス単独で妊娠率や出生率が上がるとは言えません。研究で使った量も、製品の形や対象者が異なるため、そのまま自分に勧められる量にはなりません。

妊活の主役を、サプリに渡さなくていい

「買わないと努力不足なのでは」と感じる必要はありません。サプリの広告は、性欲、男性ホルモン、精子の数、妊娠を一続きの話にしがちです。研究はまだそこまでつながっていません。父親になりたいという気持ちも、すでに十分に大切な出発点です。

性欲や勃起について困っているなら、その悩み自体を相談してよいものです。妊活中の性欲・勃起・射精の悩みと相談先を別の記事で整理しました。妊娠を希望しているのに結果が出ない、精液検査で気になる値があるなら、製品を増やす前に二人の状況を医療機関で確認できます。成分の研究を比較したい人は、亜鉛の形と実際の効果やL-カルニチンと精子の運動率も参考にしてください。年齢への不安があるなら、35歳からの父親についての記事でデータを分けて読めます。

よくある質問

マカは「精力剤」としてなら効果がありますか?

小規模なプラセボ対照試験では、8〜12週間で性欲の自己評価が改善しました。ただし、誰でも同じように感じるか、どの製品でも再現するかは分かりません。テストステロンの上昇も、その試験では見られませんでした。[1]

トリビュラスでテストステロンは上がりますか?

現在の試験をまとめたレビューでは、安定した上昇を示す強い証拠はありません。特定の対象で変化を報告した研究はありますが、それをすべての男性や製品に当てはめられません。[4]

二つを一緒に飲めば、妊娠しやすくなりますか?

マカとトリビュラスを組み合わせて妊娠・出生の改善を確認した根拠はありません。単独の研究結果を足し算して、組み合わせの効果は予測できません。製品を重ねる前に、何を改善したいのかを明確にしてください。

飲まないと妊活で損をしますか?

そう考える根拠はありません。性機能の悩みには相談先があり、妊娠についてはカップルそれぞれの状況に合った評価があります。サプリの購入を、父親になる資格や努力の尺度にする必要はありません。

まとめ

マカには性欲の、トリビュラスには性機能や精液所見の前向きな研究があります。同時に、試験は小規模・不一致で、どちらも妊娠や出生を増やすと確認されたわけではありません。希望を持つために、広告の強い言葉に頼らなくて大丈夫です。父親になりたいと思った今、できることはあります。 悩みを具体的に言葉にし、必要な情報を確かめ、パートナーや医療者と次の一歩を考えていきましょう。

出典参考資料・文献

本文で参照した資料です。リンクは新しいタブで開きます。

  1. 01Gonzales ほか(2002):マカと性欲・テストステロンのプラセボ対照試験
  2. 02Lee ほか(2022):マカと精液所見、5試験の系統的レビュー
  3. 03Kamenov ほか(2017):トリビュラスと性機能、180人の無作為化試験
  4. 04Vilar Neto ほか(2025):トリビュラスと勃起機能・テストステロンの系統的レビュー
  5. 05Sanagoo ほか(2019):トリビュラスと精液所見、7報の系統的レビュー
  6. 06Roaiah ほか(2017):トリビュラスと精液所見・ホルモン、30人の試験