ベビーカーを比較する。小さな服を買う。名前を考える。父親になる準備は、目に見えるものから進めたくなる。

では、家へ帰った日の夕食は誰が用意するのか。洗濯物は誰がしまうのか。自分がいない時間、誰に何を頼めるのか。そこだけ「生まれてから考えよう」になっていないでしょうか。

買い物は終わった。でも、暮らしの担当は決まっていない。 その状態で待っているのは、準備の続きです。しかも今度は、赤ちゃんとの生活を始めながら進めることになる。

父親の出産準備で先に整えたいのは、物、時間、担当、連絡先です。全部を予測する必要はありません。それでも、今調べられることまで、出産後の相手へ残す必要もない。

私は、父親になる自覚を、胸の内だけで測りたくありません。嬉しい。守りたい。そう思ったなら、今日の生活のどこを自分が持つのか。その答えにも、気持ちは表れます。

父親の出産準備は「誰が動くか」まで決める

出産準備リストには、必要な物が並びます。物の確認は大切です。ただ、物が揃っていても、それを使う人が毎回指示を待っていたら、段取りは一人へ戻る。

買った服をどこへ置いたか。何が残っているか。足りなくなったら誰が補充するか。相手しか分からないままなら、棚は共有でも、管理は共有になっていません。

まず、準備を四つに分けてみます。

出産前の準備を、物、時間、担当、連絡先に分けた図

準備するもの出産前に確かめること担当としてできること
物必要な物、置き場所、使い方調べ、二人で選び、使える状態にする
時間在宅できる日、不在の時間、休業の予定申請や予定調整を進め、変更を共有する
担当食事、買い物、洗濯、連絡、手続き準備から最後まで持つ範囲を決める
連絡先産院、自治体、頼れる人やサービス連絡方法、利用条件、代案を確認する

これはこの記事のために整理した準備の枠組みです。家庭の状況に合わせて使ってください。

こども家庭庁の「さんきゅうパパプロジェクト」も、出産直後の休暇を、家族と過ごし、働き方や生活、育児と家事を考える機会として位置づけています。休むことと、その時間をどう使うかを、別々にしない。その点を押さえて準備したい。

最初に、退院後の一日を二人で想像する

「産後は僕も頑張る」より、帰宅した次の朝を話してみる方が、具体的な不足が見えます。

朝食はどうする。昼食はあるか。洗濯はいつできる。買い物へ出るのは誰か。連絡に返事をするのは誰か。自分が外出している間、予定が変わったらどうする。

きれいな一日を描くためではありません。「何とかなる」の中に置いていた仕事を、取り出すためです。

たとえば、こんな架空の会話です。

「退院した翌日は、朝と昼に食べられるものを僕が用意しておく。洗濯と買い物も僕が持つ。夜はその日の様子を見て、作るか買うか決めたい」

「来客はすぐには入れたくない。両方の家族に、日程は後で相談すると伝えておこう」

「僕が戻るのが遅い日は、夕食の手配を先に済ませる。足りないところは、使える支援も今のうちに調べたい」

こうして話すと、気持ちを伝えるだけでなく、任せられる範囲が生まれます。

相手が「その予定だと困る」と言ったら、そこで直せる。頼もしい台詞を完成させるより、二人が実際に使える予定を作る方が大事です。

家事は、生まれてから練習しなくてもいい

料理が苦手。洗濯の表示が分からない。買い物の途中で何を選べばいいか迷う。今なら、試して覚える時間を作れます。

出産後に「教えてくれればやる」と言うつもりなら、その説明を今、受けておきたい。さらに、相手に教わらなくても確認できることは、自分で調べておく。

凝った料理は要りません。二人が食べられる献立をいくつか作れる。食材の在庫を見て買い物できる。洗濯物を使える状態へ戻せる。台所を次に使える状態にできる。その方が、珍しいごちそうを一度作るより、毎日の役に立つ場面があります。

出産後の相手を、家事の講師まで兼ねる人にしない。

担当の持ち方は、家事を自分の責任として引き受けるで詳しく扱いました。この準備では、そこから一歩進めて、「自分が不在の日にも、その仕事が回るか」まで確かめます。

在宅中は自分でやる。不在日は前もって手配する。できない日は代案を相談する。自分がいないことを、相手が全部やる理由として置かない。

育休は、日数と中身をセットで準備する

育休を取る。その決断は大切です。でも、休業中も毎回「次は何をする?」と聞くなら、相手には説明と管理が残る。家にいる時間だけでは、役割は決まりません。

まず制度の枠を確認します。厚生労働省の案内では、産後パパ育休は、対象となる労働者が原則として出生後8週間以内に通算4週間、28日まで、2回に分けて取れる制度です。通常の育児休業とは別です。

申出は原則、休業開始予定日の2週間前まで。労使協定により最大1か月前となる場合があります。2回に分ける場合は、初回の申出時にまとめて申し出ます。対象条件や予定より早い出生への対応もあるため、記事末尾の公式案内と勤務先で、自分の条件を早めに確認してください。

給付についても、「休める日数」と「いつ、いくら入るか」は別です。申請に必要なもの、支給条件、入金までの生活費を確認する。ここでは給付額の計算や、すべての人への適用を扱いません。

制度を確認したら、その時間に何を持つかを話す。

先に決めたいこと確認する問い
休業する時期出産時と帰宅後、どこで自分の時間が必要か
生活の担当食事、洗濯、買い物、連絡を誰が持つか
学ぶこと両親学級や産院で、何を自分も教わるか
予定が変わった日休業開始、移動、支援をどう調整するか
休業が終わる頃不在時間が増えた後、どの担当をどう続けるか

休業を十分に取れない状況もあります。そこで話を終えず、使える有給休暇や時間調整、不在中の食事、家族や地域の支援、サービスを具体的に調べる。

条件に制約があることと、調べる仕事まで相手に渡すことは違います。

出産当日の段取りは、本人の希望と産院の案内から

立ち会いたい。記録を残したい。家族にもすぐ知らせたい。自分の希望はあっていい。ただ、その場の中心にあるのは、自分が思い描いた父親デビューではありません。

出産する本人の希望と、産院の案内を先に確認する。立ち会いや面会の条件、連絡方法、入院時の移動、持参するものは、利用する産院で調べます。

「産院の番号は相手のスマホにある」だけで済ませない。自分も分かるようにしておく。移動手段は一つに絞らず、それが使えない場合の手段も確かめる。

入院用の荷物は、二人で場所を確認する。必要な物を自分で選び直すのではなく、本人と産院の案内に沿って準備する。

写真や家族への連絡も話しておきたい。「喜ぶだろう」と思っても、本人が望まない写真や情報まで共有しない。出産の体験を、自分の報告の素材だけにしないことです。

体調や出産の判断は、産院からの指示に従う。ここで準備するのは、医療判断の代役になることではなく、必要な連絡と移動を迷わず進められる状態です。

赤ちゃんの世話は、二人とも教わる

相手が出産するから、育児も相手の方が自然に分かる。そう決めてしまうと、父親だけが「教えてもらう側」に居続けることになる。

自治体や産院の両親学級などを調べ、参加できる日を確認する。産院で説明を受けられる機会には、自分も質問する。説明を一人が覚えて後で伝える仕組みだけにしない。

抱き方、おむつ替え、衣類の扱いなど、学ぶ対象はあります。授乳や赤ちゃんの睡眠環境など、安全に関わることは、産院や公的な案内で確かめる。この文章を具体的な育児手順の代わりにはしません。

知らないのは、始まりとして普通です。知らないまま相手がやるのを待つ。それを変えたい。

「僕はまだ慣れていないから」と退くほど、相手に経験が集まる。やがて、その経験差を「やっぱり相手の方が得意」と呼ぶ。最初に自分が学ぶ機会から離れたことが、見えなくなる。

任せられる部分を、説明を受けて実際にやる。うまくいかなかったら、その箇所を聞く。親として学ぶ仕事も、自分の担当です。

支援を頼む。来客を増やす。それは同じではない

家族に来てもらえば助かる。そう思って、日程を決める。ところが、迎える側には掃除、食事、お茶、写真、会話が増えてしまう。

助けのつもりで、接客を追加していないか。 ここは先に話したい。

本人が希望する支援と、自分が呼びたい来客を分ける。誰に、何を、どのくらい頼むか。家へ上がるか、物を届けてもらうだけにするか。断るときは誰が連絡するか。

「食事を届けてもらえると助かる。ただ、訪問の日程は帰宅後の様子を見て決めたい。今回は玄関で受け取る形でもいい?」

こうした依頼は、自分からできる。自分の家族への説明を、相手に任せきりにしない。

自治体の家事・育児支援や産後ケアなども、窓口、利用対象、予約方法、費用を調べておく。地域やサービスで条件は違います。「困ったら使う」ではなく、困ったときに申し込めるかまで確認する。

支援を受けることは、家庭への責任をやめることではありません。利用を調べ、相談し、手配する。その役割もあります。

夜の約束は、二人の休みをどう作るかで話す

「夜は交代しよう」は頼もしく聞こえる。ただ、誰が何を交代するのかが曖昧だと、両方が起きたままになったり、結局一人が対応を続けたりする。

ここでは赤ちゃんの授乳間隔や睡眠方法を決めません。必要なお世話は、個々の状況と産院の説明に沿って考えます。そのうえで、夜に自分が担当できる部分、翌日の家事、相手が休む時間、自分も休む時間を具体的に話す。

できない役割があるなら、別の仕事を持つ。食事の用意、洗濯、翌朝の買い物。赤ちゃんへの直接のお世話だけが、親の仕事ではありません。

自分が働いているから、自分の睡眠だけは守られる。それを無言のルールにしない。同時に、二人とも削り続ける計画も長くは使えない。疲れが積み重なっているなら、手順、分担、支援を見直す。

片方が「もう無理」と言うまで、計画が順調だと思わないことです。

手続きは、調べるところから担当する

出生に伴う届出、健康保険、手当など、確認したい手続きがあります。「書類が揃ったら僕が出す」だけでは、その前の調査と準備が別の人に残る。

自分の自治体や加入先の公式案内で、必要な手続き、期限、書類、提出先を調べ、二人に関係する情報を共有する。オンライン、窓口、郵送などの方法も、実際の案内で確認します。

ここで全員に同じ手続き一覧や期限を当てはめることはしません。居住地や加入先、自分たちの条件に合った一枚を作る方が使えます。

自分たちの確認表に残す項目書くこと
手続き名自分たちに必要かを確認したもの
期限と条件公式案内で確認した期限、対象、例外
必要な物書類、情報、本人による確認が必要な部分
担当と提出方法誰が調べ、誰が準備し、どう提出するか
完了の確認受付や不足の連絡、次に必要な対応

担当したなら、提出した後の確認まで持つ。最後に「出しておいたよ」と言えるのはいい。その前の仕事を誰がしたかも、忘れないようにしたい。

準備の試運転をする。相手を採点者にしない

出産前に、一日だけ、自分が食事、買い物、洗濯、片づけを持ってみる。どれだけ立派にできたかを競うためではありません。何が分からず、何を相手に戻しているかが見えます。

これは産後を再現する試験ではありません。赤ちゃんのお世話や出産後の体調は、この一日では分からない。それでも、今の家の場所と手順は覚えられる。

準備の試運転で、実際に動く、詰まった箇所を記録する、手順を直す流れを示した図

終わったら、「僕、ちゃんとできた?」だけでなく、「今日、あなたが準備や確認を引き受けた部分はどこだった?」と話す。相手を採点者にするより、まだ渡せていない仕事を見つけたい。

道具の場所が分からなかったなら確かめる。時間が足りなかったなら、方法を簡単にする。買い物で迷ったなら、次に選べる基準を残す。

自分が良い父親だと認めてもらうための一日ではありません。任せてもらえる仕事を一つ増やすための一日です。

予定が外れたときと、育休が終わる日を先に考える

出産予定日、帰宅する日、来てもらう日。予定は必要です。ただ、その一つが動くと全体が止まる準備では、まだ弱い。

自分がすぐ動けない場合の連絡。移動手段が使えない場合の代案。支援する人が来られない日の食事と家事。予算内で切り替えられる方法を、二人が分かるところへ残す。

そして、休業が終わった後も家族の生活は続きます。

在宅中に自分が持っていた仕事は、復帰と同時に相手へ全部戻すのか。帰宅後に続けるのか。頻度を変えるのか。支援を組み合わせるのか。終了直前に初めて考えるより、準備の段階で問いを置いておきたい。

準備を見直す三つの時点、出産前、帰宅後、休業終了前を示した図

計画は、最初の一枚を守り抜くためのものではありません。実際に暮らし始めて分かったことを、二人で直すためにあります。

「決めた通りにできない」と相手を責める前に、その予定で何が足りなかったかを見る。予定に収まらない相手が問題なのか。生活に合わなくなった予定が問題なのか。そこを取り違えない。

父親になる前に、今日一つ動く

最初にすることを選ぶなら、私は買う物を増やすより、次の三つを紙に書きます。

  1. 自分が今から持つ家事を一つ決める。 範囲と完成まで話して、実際に続ける。
  2. 必要な時間を確認する。 休暇や育休の条件を調べ、相手と時期を話す。
  3. 帰宅後の一日を考える。 食事、連絡、不在の時間を誰が支えるか、代案も含めて整理する。

子どもを迎えることは、自分以外の人の生活にも、具体的な責任を持つことです。そして、責任だけでできている未来でもありません。一緒に笑い、知らなかったことを知り、少しずつ育っていく人のそばにいる。その日々へ入っていく準備でもあります。

完璧な父親になると約束しなくていい。その約束は、大きすぎて確認しにくい。

今夜の洗濯を終える。明日、制度を確認する。週末、二人で最初の一日を話す。こちらの約束は、実際に果たせます。

「生まれたら変わる」を待たずに、今から一つ変える。 未来の家族への気持ちを、今日の担当にまで下ろす。

迷う日に戻れるよう、自分が欲しい日々も書いておいてほしい。子どもと何を話したいか。二人でどんな家をつくりたいか。受け取ってきた何を残し、何を変えたいか。

準備の項目を消すことだけが目的ではありません。いつか振り返ったとき、「あの日々に、自分もちゃんといた」と言えるように。父親になる準備を、その未来につなげたい。

よくある質問

5件の質問を見る閉じる

父親が出産前に準備することは何ですか?

出産時の連絡と移動、家事の担当、休暇・育休の予定、退院後の食事や買い物、手続きの確認、頼れる支援先を整理します。買い物リストに加え、誰がいつ動くかと、予定が変わった場合の代案を二人で決めます。

父親の出産準備はいつから始めればいいですか?

妊娠が分かり、二人で今後を話せる段階から、家事や制度の確認など始められる部分に着手できます。育休や講座には申出・予約の期限があるため、出産直前まで待たずに調べます。具体的な予定は産院の案内や二人の状況に合わせて更新します。

産後パパ育休はどのくらい取れますか?

対象となる労働者は、原則として出生後8週間以内に通算4週間(28日)まで、2回に分けて取得できます。通常の育児休業とは別の制度です。対象条件や申出期限、分割の手続きは厚生労働省の案内と勤務先で確認してください。

育休を十分に取れない場合、どう準備すればいいですか?

自分が在宅できる時間と、不在になる時間を具体的にします。不在中の食事、買い物、家事をどう回すか、家族や地域の支援、利用できるサービスの条件と費用を確認し、相手の希望も聞いて組み合わせます。支援の調査と依頼そのものも担当できます。

出産前に夫婦で何を話しておけばいいですか?

最初の一日の生活、家事と手続きの担当、休める時間、来客や写真共有の希望、困ったときの連絡先、予定変更への対応を話します。出産後に一度で決めた通りに動けるとは限らないため、帰宅後と休業終了前に見直す時期も決めます。

出典参考資料・文献

本文で参照した資料です。リンクは新しいタブで開きます。

  1. 01こども家庭庁:さんきゅうパパプロジェクト・さんきゅうパパ準備BOOK
  2. 02厚生労働省:産後パパ育休 — 対象、期間、申出方法